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日本の働き方改革がハンコによって阻まれている


4/27/2020

Translated by George Bodman


今月上旬に日本政府がコロナウイルスの感染拡大を防ぐ為に緊急事態宣言をし自粛を求めるや否や、人々は家電量販店に向かった。

ソーシャルディスタンスに備える為だった。

多くの日本人は自宅で仕事をする為の準備に欠けていた。

ロボットや最新の電気機器といった日本企業の「超近代的」なイメージとは裏腹に、日本は技術的な困難に直面した。

それ以上に大きな障害は日本の企業文化にあった。未だに多くの会社ではEメールよりもFAXに頼っている。多くの家庭では高速ネット回線が整備されていない。書類はサインではなく「ハンコ」と呼ばれるスタンプを押さなければならない。

イギリスの市場調査会社YouGovによると、日本人の80%がウイルスに感染する事を恐れているという高い数値に対し、企業や学校の18%しか通勤通学を避けれていないという。

インドでは所謂ホワイトカラー業務の70%が自宅から行われ、アメリカでは30%とされている。

オーストラリアの市場調査会社ロイ・モーガンによると、オーストラリアでは先週金曜日の時点で1,600万人が在宅勤務を行なっているとしている。

日本で在宅勤務のパイオニアとされる田澤由利氏によると、日本人労働者は明確な業務分担がなされておらず、会社はスタッフ達に対しチームとしてお互いに常にコミュニケーションを取り合う事を求めているという。

「しかし今は労働者とその家族の命がかかっている。いま出来ることを直ちに行わなければならない」

田澤氏は、パソコンを所有しない人でも携帯電話があれば自宅から直ちに仕事が始められるオンライン集中講座を提供している。

彼女は、通常のZoomミーティングのように都度入退室するのではなくZoomの音声を繋いだままにしておくことで、自宅でもオフィスで他の社員達と一緒にいるような環境にしておく事を推奨している。

日本でもトヨタやソニーといった大企業も在宅勤務を行うと発表している。しかし問題は日本経済の70%を支えている中小企業なのだ。

コーポレート・ガバナンスのエキスパートで、日本でテレワークに関するオンラインセミナーを無料で行っているニコラス・ベネシュ氏によると、驚くほど関心は低いという。

ITシステムの環境整備に欠けているということは、つまり日本においてフレキシブルな仕事環境、オフィスルール、マネジメント方法、そしてリモートワークに対する姿勢を育てることに遅れを取るという事に繋がるという。

公益社団法人 会社役員育成機構でマネジメントとガバナンスを指導するベネシュ氏は「テレワークは上司がより社員を信頼することが求められ、社員がこれまでよりも決定権を持つ事でEメールやSkype等でいちいち上司からの承諾を伺う時間を省くことが出来ます」と語る。

さらにベネシュ氏は日本企業は未だに顔を突き合わせて「察する」「空気を読む」といったニュアンスに頼っているという。

そして、FAXの存在だ。

政府によると日本の家庭の3割がファックスを所有しているという。

ソフトバンクなど古い企業体質を嫌う会社を除き、逆にFAXを持たない会社を見つける方が難しい。多くの施設や機関が要望や情報を受け取る際はEメールを避け、FAXによる書類の送付を強要する。

そうして、コロナウイルス感染者の数字が上がっても電車通勤者がいつものラッシュアワーよりわずかしか減らないのだ。

日本で「サラリーマン」と呼ばれている会社員のタカミ・フトシ氏によると、彼が自宅で勤務することが認められたのは4月中旬に入ってからだという。しかし、どのような作業を行えば良いのかという指示はほとんど受けていない。もしかした何かしらのオンライン授業を近々受けさせられるかもしれない、と彼は答えた。

タクミ氏は自分の上司を明かさない事を条件に、人の命よりも規則を重んずる会社に対し自己分析を始めたと我々に語った。

「自分が人生で本当にやりたいことはなんなのか考える為の時間にしたいと思います」

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